アスベストは天然の鉱物繊維の一種(鉱石が変形したもの)で綿のように軽いため石綿(いしわた/せきめん)とも呼ばれています。
一つひとつは髪の毛の5千分の1ほどという非常に細い繊維状のため肉眼で確認することはできません。
種類はクリソタイル(白石綿)、クロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、アンソフィライト石綿、トレモライト石綿、アクチノライト石綿の6つになりますが、代表的なのはクリソタイルで世界の使用量の9割を占めると言われています。
またアスベストは「燃えにくい」「弾力性がある」「混ざりやすい」「電気を通しにくい」「摩耗しにくい」「薬品に強い」といった特性を持っていて、それに加えて比較的安価で大量生産が可能だったこともあり幅広い建材に使用されてきました。
アスベストは下記のように段階的に規制されてきましたが、2006年以前の建物に関しては何かしら使用されている可能性があります。
・1975年(昭和50年)アスベストの吹付け原則禁止(石綿含有率が重量の5%を超える場合)
・1995年(平成7年) アスベストの吹付け全面禁止(石綿含有率が重量の1%を超える場合)
・2004年(平成16年)アスベスト含有品の出荷を原則禁止(石綿含有量が重量の0.1%を超えるもの)
・2006年(平成18年)アスベスト含有品の製造禁止(石綿含有量が重量の0.1%を超えるもの)
アスベストは極めて細い繊維のため飛散すると空気中に浮遊しやすく、そのため無意識のうちに吸い込んでしまう恐れがあります。
いったん肺に入ってしまうと、とげが刺さったような状態のまま体外に排出されず滞留するため、吸入後、長い年月を経て、じん肺、悪性中皮腫*1、肺がんなどの症状を引き起こす可能性があります。
アスベストの危険性が指摘される契機になったのが2005年に起きたクボタショック*2です。
これ以降、社会的問題として取り上げられることが多くなり、昨今ではアスベスト絡みの訴訟が各地で起こっていて、2020年12月には最高裁で初めて国の賠償責任を認める判決が出されました。
アスベスト関連の疾患については下記をご参照ください。
→独立行政法人環境再生保全機構 アスベストによる健康被害